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原虫性腸炎(下痢)〜コクシジウム症〜について

更新日:2022年5月1日

 子牛の下痢シリーズも終盤に差し掛かってきました。コクシジウム症についてみていきましょう。

 生後1ヶ月位の子牛の血便を発見した場合、皆さんが真っ先に思い浮かべるのは「コクシジウム症」ではないでしょうか?

 コクシジウムは動物の消化管の細胞内に寄生する原虫で、細胞内で増殖します。独自の増殖を繰り返すことでオーシストという厚い殻に包まれた卵のようなものが糞便中に出てきます。このオーシストが潜む糞便がついた飼料を子牛が食べることで感染します。

 コクシジウム症は血便、水様性の下痢、脱水、貧血などが知られていますが、一番特徴的なのはしぶりです。皆さん、子牛が便を出そうといきんでいるのに何も出ていない症状を見たことがありませんか?しぶりとはまさにこの便意があるのに肛門から何も出てこないことです[1]。コクシジウム症は早めに治療を行えば、予後は良好だと思います。しかし、症状が進み、長引いてしまうと成長不良が起こります。

 そこで、コクシジウム症の発症防止薬としてトルトラズリルが効果的です。実はこのトルトラズリル、筆者が新人時代の上司が実地試験を行っていて、筆者が糞便検査をしていました。筆者は様々なコクシジウムのオーシストを見てコクシジウム全13種類を当てることができたほどです…

 

 

[1]稲葉睦、加藤敏英ら:子牛の医学、pp234、2014





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