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原虫性腸炎(下痢)〜クリプトスポリジウム〜について

 子牛の下痢シリーズ最終回です!クリプトスポリジウムについてみていきましょう。

 クリプトスポリジウムはコクシジウムと同じように「オーシスト」が潜む糞便がついた飼料を子牛が食べてしまうことで感染します。またクリプトスポリジウムはオーシストが体の中に少し入っただけで感染するという脅威の感染力です…。さらにほとんどの哺乳類に感染(寄生)するため、人への感染も多く報告されています。筆者も新人時代にクリプトスポリジウムに感染し、ひどい目に合いました。

 クリプトスポリジウムの特徴的な症状は、生後5日目位から1ヶ月目位の子牛が、突然勢いのある水様性の下痢(色は黄色が多いでしょうか)を起こしてしまうことです。クリプトスポリジウムのみの感染では致死率は高くありませんが、ロタウイルスなどと混合感染が起きてしまうと重度の脱水を起こし、致死率が高くなります。

 そして、子牛がクリプトスポリジウムに感染してしまった場合、一番厄介な点は「有効な薬がなく、症状が長引いてしまうこと」です。

 下の図をご覧ください。クリプトスポリジウムは小腸の微絨毛(ヒダの部分)の狭い空間に入り込み、寄生します。寄生する時に絨毛部分を収縮、消失させてしまいます。この微絨毛は子牛が栄養を吸収する大切な部位ですが、クリプトスポリジウムに寄生されてしまうと、栄養の吸収が邪魔されます。有効な薬がなく子牛の栄養吸収が邪魔されてしまうと、症状が長引いてしまいますね…

 それではクリプトスポリジウムに対抗するためにはどうすればいいのでしょうか?筆者は「初乳の質、量、給与方法」が問題なくできていれば、クリプトスポリジウムの大部分を抑えることができると思います。初乳にトラブルがあれば、クリプトスポリジウムの抗体が含まれる添加物を利用することもいいと思います。


 

 


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